石に刻むということ|人吉温泉しらさぎ荘 女将の徒然日記

人吉市雨庭景観賞を受賞した人吉温泉しらさぎ荘の玄関前に設置された記念碑

しらさぎ荘の正面玄関前に、ひとつの石が据えられました。

『雨庭景観賞』の記念碑です。

賞をいただいたことを残すためのものですが、不思議なもので、こうして石に刻まれると、

受賞そのものよりも、その背景にある時間の方を思い出します。

豪雨を経験したこの土地で、雨とどう向き合うのか。

雨を遠ざけるのではなく、一度受け止め、ゆっくりと大地へ還していく。

そんな雨庭の考え方に触れたとき、どこか人の営みにも似ているように感じました。

巡りくるものを拒まず、
抱え込みすぎず、
静かに受け止める。

言葉にすると簡単ですが、実際にはなかなか難しいものです。

豪雨もそうでした。

あの日は、失ったものばかりに目が向いていました。

目の前から消えてしまった建物。
変わってしまった景色。
積み重ねてきた時間。

けれど、時間が経つにつれて思うのです。

雨とともに生きてきた土地には、
雨と向き合う知恵が受け継がれているのだと。

失われたものは戻りません。

それでも、その土地で生き続けるということは、

起きた出来事をなかったことにするのではなく、

抱きしめながらも前へ進むことなのかもしれません。

石に刻まれているのは賞の名前です。

けれど私には、復興に携わってくださった方々の姿や、再建を待っていてくださったお客様の顔まで

重なって見えます。

だからこの石は、受賞の記録というよりも、ご縁への感謝を刻んだ石のように感じています。

今回設置した記念碑は、人吉市の補助制度を活用して整備させていただきました。

こうした制度があることで、個人や事業者だけではなかなか形にできない取り組みが、一歩前へ進むことがあります。

補助金というと少し堅い印象がありますが、地域の景観や環境、防災について考えるきっかけを

後押ししてくれる仕組みでもあるのだと思います。

しらさぎ荘へお越しの際は、ぜひ正面玄関前の石にも目を留めてみてください。

そこには賞の名前だけでなく、この土地が雨とともに歩んできた時間も、

静かに刻まれているような気がしています。

 

※今回の記念碑設置にあたっては、人吉市の補助制度を活用させていただきました。
地域の景観や環境、防災について考える取り組みを後押ししてくださる制度です。

ご興味のある方は、こちらもご覧ください。

人吉市 雨庭整備等促進補助金制度について
https://www.city.hitoyoshi.lg.jp/kurashi/bosai_bohan/bosai/2419480

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